【800m】お金を払って苦しむ美学。

ひとりごとシリーズ

部員日記二回目を書く

昨年2月に部員日記の一回目を書いたが、なんと二回目が回ってきてしまった。一回目を書いた当時、そもそも二回目があるなんて思っていなかったため、正直何を書けばよいか悩んだ。

結局、申し訳程度の自己紹介と自分の専門種目である「800mについて」という、至極ありきたりのものになってしまったが、そこそこ考えて書いたこともあり、なかなか満足している。

以下は、完成して立教大学陸上競技部のホームページに載っているものを一部抜粋したもの、つまりほとんどコピペである。

全貌を見たい方は、ぜひ「立教大学 部員日記」で調べてみてほしい。

 

部員日記【魅力的な暇つぶし】

 東京都の調布という大都市に生まれ、生粋のシティーボーイとして20年間生きてきました。幼いころから身体を動かすことが好きで、小中9年間ほど野球をしていました。同級生三人の弱小中学で全国を夢見たあの頃は、今でも記憶に新しいです。

 趣味は漫画やアニメ鑑賞で、休日は基本的に家で引きこもっています。春休みに観た作品は「イナズマイレブン」「ヴァイオレット・エヴァ―ガーデン」「大奥」「ジョジョの奇妙な冒険第6部」「グッド・ナイト・ワールド」「九龍ジェネリックロマンス」「BANANA FISH」などです。

 最近は、祖父母にWBCを見せるために契約し、見事解約し忘れたネットフリックスでアニメを見る毎日です。独占配信の「ひゃくえむ」や「地面師たち」を見ることで、なんとか延長料金を取り戻そうとしています。特に地面師にドはまりし、いつか中距離パートでハリソン山崎とたくみさん(西岡)を中心とした地面師をやってみたいと考えています。良さげな土地などがあれば私に教えてください。

 趣味の話が長くなったのでおまけ程度に陸上の話をすると、高校時代は走りながらも競歩を専門種目としていましたが、大学からは800mに命をささげています。「トラック二周」という美学に魅入られてから久しく、この種目と心中するつもりです。

 自己紹介が終わったので、そろそろ本題に入ろうと思いますが、これまでの人生や陸上競技について書けばよかった第一回目の部員日記と異なり、本二回目は何を書けばよいのか分かりません。熟考の結果「男女奢り奢られ論争に堂々の決着」もしくは「陸上競技をする理由」の二つまで絞り、寸でのところで後者に決定しました。というわけで、以下は私が陸上競技に、ひいては800mという種目に邁進するわけを書いたものとなります。

 ことの始まりは2月の春合宿、3日目の夜でした。ミーティングの議題を任された私を含めた二年生四人は、その議題を「なぜ陸上をしているのか」というアツい内容に決めました。

 無事行われたミーティングでは、中距離パートの各々が持つ「陸上競技をする理由」を発表し、非常に熱血で有意義な時間となりました。かくいう私もその理由を「人生における刺激を得るため」と発表した次第です。当時、そこまで深くは考えず、一番初めに思いついた答えが上記のものでしたが、部員日記という機会を活かし、今一度「陸上競技をする理由」について考えようと思います。

 フランスの哲学者ブレーズ・パスカルの著作に由来する【人生とは死ぬまでの暇つぶし】という言葉に則ると、私にとって陸上競技は暇つぶしにすぎません。もちろん陸上競技を軽視しているわけではありません。空きコマの暇をつぶすのと、生活の大部分で行う暇つぶしの差は計り知れないという話です。

 おそらく、この生活の大部分を使った暇つぶしというものは、ほとんど誰しもが行っていることだと思います。それが仕事であったり推し活であったり、ボランティアや、それこそ何かのスポーツかもしれません。ここでは、何か熱中して取り組んでいることを「生活の大部分を使った暇つぶし」と表現できます。

 高校で陸上競技と出会い、私は現在までその暇つぶしにこのスポーツを選んできました。裏を返せば、今後陸上競技を超える別の何かに出会ったとき、私の割く時間や労力は新たな暇つぶしに移っていくと考えられます。もちろん、肉体の限界や環境の変化の影響は受けます。それでも、私が最も熱中していることをやめるには、それ以上の理由が必要です。

 このことが、「陸上競技をする理由」の一翼を担っています。つまるところ、人生において何かに熱中していたいという気持ちがあり、その熱中する対象が陸上競技だということです。春合宿での私は、これを「人生における刺激」と表現しました。

 さらに突き詰めると、この「人生における刺激を得るため」の陸上競技は「人生を豊かにするため」と言い換えることができます。結局のところ、どんな理由でも最終的にこの「人生を豊かにする」に結びつくような気もしますが、今回はこのことについて再認識するよい機会となりました。

 前述の通り、人生を豊かにする「生活の大部分を使った暇つぶし」は陸上競技に限定されません。にも関わらず、あえてこのスポーツに生活の大半を費やしています。私は高校時代から、これはとてつもないことだと感じていました。

 一般的に、自分で選ぶことのできる暇つぶしには娯楽やバイトなどの「楽しいこと」や「お金がもらえること」が挙げられます。「楽しいこと」のためにはお金を払い、「お金がもらえること」のためには多少苦しいこともします。

 ただ、私のやっている陸上競技では「お金を払って」「苦しいこと」をしています。これは冷静に考えると、とんでもないことです。熱血に考えてもどうかしています。さらに、専門種目としている800mは、その陸上競技の中でも苦しいものとされているのです。

 なかなか救いようのない事実ですが、冒頭の自己紹介で書いた通り、私は800mという種目の「トラック二周」が非常に気に入っています。高校時代は5000m競歩を専門としていたこともあり、スピードを出した走りに憧れを持っていました。ただ、我慢要素や戦略性の高い長距離のレースも好きでした。

 そんな私にとって最適だったのが800mです。この種目はスピードを出しつつも高い戦略性が求められ、見てよし走ってよしの最高に面白い競技です。なお、私は「戦略性の高低」を「あえてスピードを緩める展開があるかどうか」で定義しています。800mは、この戦略性を持っている競技の中で最もスピードを出すという点で、非常に魅力的なのです。

 さらに嬉しいのが、この種目は陸上競技の中でも一二を争う苦しさを持っているということです。先ほど、「苦しいことにお金を払っている」と書きましたが、正確にはそんなことをする人間は存在しません。というのも、我々は「苦しいこと」の先にある「達成感」あるいは「開放感」にお金を払っているからです。

 つまり、苦しいことを乗り越えた先にある「快楽」を求めており、そしてその快楽は「苦しさ」に比例して増幅すると考えられます。この点において、陸上競技の中でもトップクラスに苦しいとされる800mは、その後の「達成感」や「開放感」に代表される「快楽」もそれだけ高いのです。

 以上が、私の陸上競技ひいては800mという種目に取り憑かれている理由です。また、昔から「努力が数字という評価で返ってくる行為」が好きという単純な理由もある気がしますが、そこまで書こうと思うと長くなってしまうため割愛します。

 最後に、絶賛学内選考枠争い中の関東インカレについて触れます。といっても、書く事自体はあまり多くありません。4月29日執筆現在、標準は切りながらも4番手の私ですが、何が何でも出場したいという話です。

 現在三年生の私は、関東インカレへの出場機会は残すところ二回、つまり今年を逃すと残り一回となってしまいます。これは非常に由々しき事態であり、なんとしてでも学内選考を乗り越えなければいけません。

 自信はありますが、正直どうなるかは分かりません。もし負けたときも後悔が無いように、ではなく「死んでも勝つ」という気持ちで残りの選考レースを駆け抜けようと思います。よろしくお願いいたします。

以上となります。

長らくお付き合いいただき、ありがとうございました。

おわり

陸上はもちろん、何か苦しいことに全力を注いでいる、あるいは注いだ経験のある人に刺さる文章を書いたつもりだが、いかがだっただろうか。

俺としても、これまでなんとなく感じていたことをきちんと言語化することができてよかった。

せっかくブログというアウトプットの場があるにもかかわらず、部員日記の機会によって文章が引き出されるというのは何とも言えず。まったくもって俺の怠惰が原因だが、次回以降の反省点とすることで今回ばかりは許すことにする。

また、陸上競技をしている理由を再確認すると同時に、なぜ800mという種目に惹かれるのかを言語化できた点においても、非常に価値のある時間となった。

ただ苦しいだけではなく、高い戦略性を持ったままスピード感もあるという魅力と、「ただ苦しい」だけでも魅力的という無敵の競技であることが分かったのだ。正確には、心で理解していたものを頭で再理解したのだろう。このおかげで、より一層800mのことを好きになった気がする。

そして、部員日記の最後で関東インカレ出場への意気込みを書くことができたのもよかった。自分が置かれている現状を把握し、意思表明する場になったからだ。言霊信仰ではないが、公的な場で目標を発表することは、その目標達成の確率を上げることが学術的に証明されている。

ただ、そんな小難しいことは考えずに、今週末の日体大競技会、そして最後の選考レースになる5/5の田園記録会に全力を投じるのみというのが実際だろう。

部員日記にも書いた通り「負けても後悔ないように」ではなく「死んでも勝つ」という気持ちで残りの期間を駆け抜けよう。

2026/4/30 4342字

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